インチルーペのお話

私たちの世界でルーペと言えばこれ、インチルーペ。

帆布だけでなく生地の組織はインチで話される事が多く、1インチ(2.54cm)の中に何本糸が打ち込まれているか数える必要がある。このルーペは覗くと目盛りが刻まれていて織り糸の本数が数えやすい。一般的にはあまり使わない専門的な道具と言っていいだろう。

このブログでも”打ち込みの良い帆布”、”密度を高く織り込んで”、、といった表現をしているが、要はこの1インチの中にタテヨコ何本入れるかという事。職人の間でも”〇〇本入れてください”といった具合で会話によく出てくる。

生地の興味深いところは、打ち込みが良い程、良い生地と捉えられがちだが、実は違う。バランスが重要なのだ。生地の密度が高すぎると”引き裂き強度”が落ち、逆にスカスカだと、”スリップ”といって生地が抜ける。その間の絶妙なバランスを見つけるのが職機屋の技術力である。決まった本数はあるのだが、湿度によっても糸の入り方が違う為、毎日織機と向き合っている職人が調整しなければ安定した帆布は織ることができない。

Japanese
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